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<地下鉄の中で>
僕は地下鉄の一番端の席に座っていた。ドアのすぐ脇にある席だ。駅に着き、乗客が乗り込んでくる。前に人が立った。脇のドア側にも人が立った。皆、座っている僕の方に向いている。目線のやり所に困った僕は、俯き、カバンの中をがさごそと漁った。僕の周りに立っている人たちが俄に気色ばむ。カバンの中から手を出そうとしたその時、目線を上げた僕は目を疑った。 僕の方を向いて立っている人たちが、全員携帯を開いて構えていた。 しばしの沈黙。携帯の向こうにある瞬き一つないその目線は、一点を見据えている。僕は観念して意を決した。降伏の意を示すため諸手を高々と上げるわけもなく、ただ乗り換えるために地下鉄を降りた。 PR |
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